ウルトラマンネクサス命名のひみつ(仮題)

(漢字の)名前に秘密が込められたウルトラマンネクサス。この研究(?)はドラマに対してのものであり、実在の人物のお名前とは関係ございませぬ。

再再見ネクサス・第3巻(#9-#12)リコってきたウルトラマン

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さて・・・問題の巻に来ましたね・・・なお、このブログ、ネタバレに関しては自重しませんのであしからず。基本的には、一度は「ウルトラマンネクサス」を観ている方にむけての記事です。

あと、ここでの漢字研究(研究?)は、「ウルトラマンネクサス」というドラマの登場人物に対してのものであり、実在の人物とは関係ないものです、と、お断りしておきます。

 

VSラフレイア・ノスフェル・・・溝呂木。

溝呂木眞也。溝呂木という苗字は多くは無いですが、実在します。仮面ライダー555の「たたたたっくん、オルフェノクが!」で有名な菊池啓太郎を演じた溝呂木賢さんとか。(というか、このお名前からのインスパイアなのか?)

が、溝呂木については次の巻でお話ししましょう。

本題に入る前に、まずこれ。

 

孤門は なぜそんなにウルトラマンを信じられるのか。

観てるほうとしては、そのように信じてほしいと思いつつも、

このネクサスの世界観では、危うい気もします(ナイーブすぎる)。

理由は、後の話でも明言されるわけでもないのですが、

過去にウルトラマンを見ているからではないか。(今は忘れている)

これは、メタ的に我々視聴者の立場と重なります(かつてウルトラシリーズを見てきた)

ネクサスでのウルトラマンも、今までのウルトラシリーズでのウルトラマンのように信じてもいいのではないか、というメタな働きかけで、それは視聴者にも受け入れられやすい主張なのですが、

 

しかし、このシリーズには、悪のウルトラマンとでもいうべき存在があります。

ダークファウスト

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石堀隊員曰く「三本ヅノ」。

で、なんのてらいも無く本題に入りますが、

 

真相は、すでに殺されていたリコを人形として(溝呂木が)操り、ファウストに変身させていた(依代にしていた)というもの。

救いが無いですが、この展開は「斎」という文字で予言されていました。・・・いや、私もびっくりなんですが、「斎」という文字を「字統白川静)」で引いてみると、こう出ているのですよ。

斎=斉+示。

で、「示」は「神を祭るときの祭卓の形」なのですが、

「斉」は、というと・・・

髪の上に、三本の簪笄(しんけい。かんざし)を立てて並べた形。

それは祭祀に奉仕するときの夫人の髪飾りであるから

祭祀に奉仕することを齋(斎)といい、

その人をサイ(齋の下の「小」部分が女に替わった文字。つつしむ。うるわしい)という。

いやあ、これはビビりました。甲骨文字が三本ヅノそのまんま。オープニングのキャスト表と漢和辞典を持っている人ならファウストの正体に容易にたどり付けたのかもしれない(しかし普通はドラマのキャラの名前を漢和辞典で調べたりはしない)

さらに言うと、「斎」には「説文解字」に載っている複雑な文字の形があり、

それには「眞(真)」が内包されている(↓リコの首あたり)。

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文字禍・・・「斎」

「眞(真)」とは何か。白川静さんはこんな風に説きます。

眞とは(匕=死者)+(県=さかさまにした首)、顚死(てんし。転死。いきだおれ)の人のことだと。

真とは死者、それはもはや化する(死ぬ)ことのないものであるから、

永遠にして真実なるものの意となる。

(てん)とは顚死の人。がその顚死者であるが、そのような非命の死者の怨霊はおそるべき呪霊をもつものであるから、これを(つつし)み、(しず)めて(いわ)い葬り、その(いか)りを鎮めなければならない。

 

・・・いやあ、すごいですねえ。「斎」という字に、リコが死者であったという意味まで込められていたとは。そして前の記事でも

田という漢字の甲骨文字が、なんとなくケルト十字架に似てなくもないのですが、十字架のイメージなのでしょうか。

と書いたのですが、考えてみれば、十字架は人の形をしたもので、それは「ひとがた」・人形(マリオネット)にもつながります。

 

こじつけじゃないか、と言われそうな気もしますが、

いえいえ、ネクサスは、言霊とモヂカラ(侍戦隊シンケンジャー)が支配する、神話的、呪術的な世界なのですよ。以後の記事を読み進んでいただければ、きっと納得していただけるはずです。

 

…そういえば、名前に「眞」のつく人がもう一人居ましたっけ。そして映画ULTRAMANには「真」のつく人が。

 

他にも「リコ」という名前には

リコレクション=追憶(他人から過去を思い起こしてもらうことでしか存在しえない存在)

リコール=召喚・蘇生(おおっと?)

 「帰」の一部分(帰るに帰れない)

 人形の「リカちゃん」のもじり

などがあるのではないかと思っています。

 

ああ、それと「利己」!! これはカタカナのルーツをたどるとあらわれてしまう漢字で(カタカナは漢字の一部を抽出することで成立した)、

これは第4巻で効いてくる要素ですね。

 

 この第3巻で、リコの話は一応終わるのですが、

リコの非業の死(顚死)を悼むには、第4巻が まるまんま必要となって来ます。

この辺のキツさがネクサスを観るハードルになっているのかもしれませんが、仕方ない、先に進みましょう。To be continued